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  • 建築関連での独り言 / 建築基準法に物申す :
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               ( 建築基準法に物申す(1)-採光 )
    建築基準法に物申す(4)-日影規制  建築関連での独り言 / 建築基準法に物申す
    1204-2016

    「建築基準法に不満あり」と、実務を経験したことのある人は多かれ少なかれ誰しも感じていることでしょう。
    という事で、今回は「日影規制」について。

    最初に引用。
    第五十六条の二  別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(四の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては、この限りでない。


    1976年の建築基準法改正で導入された条文です。

    わたしが新卒で設計事務所に入社したのが1978年ですからその少し前という事になります。
    この文章を読んだだけでは日影図なんて書けるわけがないですから、当然解説本とかがあったはずです。
    しかし、当時の先輩方はまだ解説本を読んでいなかったと見えて、条文の中にある「道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで」の〝道〟を〝みち〟と思っていたそうです。
    本当は〝北海道〟の〝どう〟です。
    つまり、北側に道路がある場合は9時から3時までと勘違いしていたわけですね。
    今となっては笑い話ですが、別表4にも「道の区域内にあっては」と書いてあるし、確かに初めて目にする人は間違うかもしれません。道の前に北海の2文字を付け足すだけなんだから、紛らわしいことをしないでもらいたいと思いますよね。建築基準法って不親切だな~

    この条文、簡単に解説すると、中高層建築が数多く建ち始め、いわゆる日照権訴訟が頻発したために導入されたものですが、その基準を守っているからといって裁判等に勝てるかというとそうでもないようです。
    歴史も権威も段違いの民法で定められた基準ならば判例に従うのでしょうが、あちこちでザル法と揶揄されている建築基準法ですからね裁判官も事案毎に判決を出さざるを得ないのでしょう。

    前置きが長くなりましたが、この条文の具体的な中身は、敷地境界から、5m、10mのラインを設定してそのラインを越えて一定以上の日影を生じさせないように建築物の形態を制限するものです。
    先ほどの〝道の区域〟というのは北海道は緯度が高く影が長く伸びるので8時~16時を9時~15時に縮めていますし、そのぶん規制も0.5時間~1時間短くしています。

    本来、決め事というのは平等でなければならないと思っていますが、「採光」の件と同じく、この日影規制も用途地域によって日影を生じさせない時間が違います。
    しかも日影は地域によって太陽高度が違うのに、上で述べた〝道の区域〟だけ区別して九州はしていません。
    区別しないというのは逆の意味で差別していることになります。

    住んでいる場所が違うんだから良いんじゃないの? と思われるかもしれませんが、建築基準法 第1条の財産の保護という法の精神に則ると明らかに矛盾しています。

    例えば、第1種低層住居専用地域(3h-2h)に高さ10mの建物を建てた場合について、日本の北に位置する青森と南に位置する鹿児島でシュミレーションしてみます。
    (北海道は条件が違うので除きました)

    以下は青森の等時間日影図(北緯40.80°)
    建物中心の真北方向10m地点(A点)で日影時間は2時間10分
              5m地点(B点)で日影時間は3時間02分
    ※2時間の影を生じさせる線と3時間の影を生じさせる線がそれぞれ10mと5mラインを超えています。

      


    以下は鹿児島の等時間日影図(北緯32.00°)
    建物中心の真北方向10m地点(A点)で日影時間は0分
              5m地点(B点)で日影時間は2時間48分
    ※2時間の影を生じさせる線と3時間の影を生じさせる線がそれぞれ10mと5mラインを超えていません。

      


    明らかに影の伸び方が違うのが判ると思います。
    同じ広さの敷地に同じ大きさの建物を建てようとしたら青森は許可にならず、鹿児島は許可になります。
    北側隣地の人にとっても建築主にとっても差別しているという事になります。


    ついでなので札幌も書いてみました。
    9時~15時(北緯43.05°)
    建物中心の真北方向10m地点(A点)で日影時間は2時間13分
              5m地点(B点)で日影時間は3時間04分

      

    日影になる時間はA点B点共に青森と大差ありませんが、確認申請上は2h-1.5hなので完全にアウトで不許可です。
    日影規制だけをとってみると、建築基準法は建て主にとっては北に行くほど厳しくなりますが、逆に近隣住民にとっては有難いという結果になりました。

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