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建築基準法に物申す(1)-採光  建築関連での独り言 / 建築基準法に物申す
1120-2016

「建築基準法はザル法」と、実務を経験したことのある人は多かれ少なかれ誰しも感じていることでしょう。
という事で、今回は「採光」について。

そもそも採光とは何ぞや、という基本的なことをぐぐってみると、
【室内に光線(おもに日光)を導き入れて明るくすること。】だそうです。

光ってんだからふつうは日光と思いますよね。
ところが我が神聖なる建築基準法では真北向きの窓でも採光が取れるんです。
まあ、簡単に言えば外気に面してれば太陽が見えなくても良いことになります。
慈悲深いですね(笑)
ただし、そこにはある程度の空間が必要になります。
道路、公園、水路等でも可ですが、原則は自分の敷地内です。
その「ある程度」の距離を決めるのが「採光計算」です。

では、どのくらい境界線から離せばいいか。
我が神聖なる建築基準法では懇切丁寧に解説してくれています。

しかし、親切すぎるのは良いのですが、差別までしているんですね、これが。

建築基準法 第一条では、
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
とあります。

最低の基準で国民の健康の保護を図っている筈なのに、住居系地域、商業系地域、工業系地域、それぞれに住む人達を差別と言うか区別しています。
どういう区別かというと、商業系地域、工業系地域は住居系地域に比べて基準が緩くなっています。
つまり、建築基準法的に解釈すれば、健康的ではないという事になります。

どういう意図があって区別しているのでしょうか?
駅に近く、人口の密集している商業系地域に住んでいる人たちは健康に留意しなくていいという事なのでしょうか?
それとも、地価の高い地域に住むのだから多少のリスクは払えとでも?

差別の可否は別にして、採光基準の厳しい住居系地域が基準の緩い商業系地域よりも健康的か? と聞かれれば関係ないと断言できます。建物高さの高いマンションでは多少居住環境が良いという程度で、戸建て住宅などは全く関係ないでしょう。


そういえば、縁側に面する部屋は、窓面積に0.7を乗じますが、マンションの開放廊下にも適用している自治体がありました。東京の某板橋区です。
30年近く前の私が若かった頃、まだ採光補正係数という考え方が無かった時代のことです。当然、民間の確認検査機関もありませんでした。
某板橋区では歴代の建築主事がその考えを引き継いでいて、マンション設計に苦労した覚えがあります。
採光を確保するために開放廊下に面する部屋の床面積を小さくせざるを得なかったのですから本末転倒というものです。
今はどうなっているんだろう? 法改正によって採光補正係数が使えるようになったから多少は楽になったのかな?
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