|
|
■
建築基準法はザル法か? 建築関連での独り言 |
1114-2016 |
建築基準法を語るにおいて、必ずと言っていいほどザル法という言葉が付いて回ります。 わたしが建築設計という仕事を始めたばかりのころ、事務所の幹部連中から何度も聞かされた言葉です。 当時は建築基準法の大部分がまだ理解出来ていなく(というか、知識不足故議論に加わることが出来ずに)、ふ~んといった感じで聞き流していたものです。
Wikipediaによるとザル法とは、 抜け穴が多いために規制の目的を達することができない不備な法律をさす俗語である。水がざるを通り抜ける様子から名付けられたものとされる。 とあります。
例として「政治資金規正法」「売春禁止法」「青少年禁酒、喫煙法」が挙げられています。
政治資金規正法のように、秘書や自己が実質的に管理する団体などを介した迂回献金のように、若干手を加えれば規制を免れるのであれば確かにザル法だと思い同意しますが、建築設計を生業として日々行政と戦って(法解釈での議論)いる身としては、我が建築基準法はちょっと違うのではないかと思う今日この頃です。
道路交通法の最高速度なども、厳密に守っている人はほぼ皆無だろうという事で、ザル法と指摘する人がいますが、これはちょっと違うでしょうね。検挙しきれないというのが現状で、だったら規制速度を変えるなり法改正すべきだという意見もありますが、それでもザル法という定義からは外れると思います。
話を戻しますが、ザル法という意味には他にもあって、一つは建築基準法は事あるたびに付け足し付け足しの積み重ね法律で、あちこちで齟齬と思われる個所があり、解釈次第でどうにもなるという、言ってみれば欠陥法律ともとれるのではないかということです。 もう一つは、 建築基準法 第一条で、(以下コピペ) 「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」 と宣言しているように、この法律は最低の基準であるが故なのか、行政の法律の解釈の判断が規制強化の方向に動きやすいという事です。
建築基準法はWikipediaで指摘しているような単純な抜け穴ではなく、法の目指す趣旨が必ずしも明確に示されていないという点で、規制する側とされる側双方の思惑がボタンの掛け違いとなり、抜け穴というよりも欠陥という意味でザル法とレッテルを張る要因になっているのではないかと推察します。
例えば42条2項の規定です。(4m以下の狭い道路の中心から2mは道路とみなす規定) 行政側の思惑と地主側の意識がかけ離れている為に、建築基準法が施工されてから半世紀以上が経過しているにも関わらず目的を達成していません。 もっとも、42条2項にはその目的は記されていませんが……。
という事で、上記の2項道路の話も含め、今後当ブログにて建築基準法について言いたいことをあれこれ書いていきたいと思います。
|
|
|
|